ローマ教皇が死んだらどうなるか徹底解説!死の確認から新教皇の決め方まで

「ローマ教皇 死んだらどうなるんだろう?」と考えたことはありませんか。ニュースなどで耳にする機会はあっても、具体的にどのようなことが行われるのか、詳しくは知らない方も多いのではないでしょうか。
カトリック教会の最高指導者であるローマ教皇がお亡くなりになった際には、死の確認から特別な棺への納棺、サンピエトロ広場での荘厳な葬儀、そして大聖堂への埋葬に至るまで、歴史と伝統に基づいた一連の厳かな儀式が執り行われます。
この記事では、「ローマ教皇 死んだらどうなるのか」という疑問に答えるため、その死後の流れを分かりやすく解説します。
さらに、次の教皇の「決め方」であるコンクラーヴェと呼ばれる特別な選挙についても触れていきます。普段あまり知ることのない、教皇死去後の世界を覗いてみましょう。
- 教皇死去から葬儀までの流れ
- 三重の棺や葬儀ミサの詳細
- サンピエトロ大聖堂への埋葬方法
- 新教皇の決め方と空位期間
ローマ教皇が死んだらどうなる?死去から葬儀まで
カトリック教会の最高指導者であるローマ教皇。その方が亡くなられた場合、どのような手続きや儀式が行われるのでしょうか。「ローマ教皇 死んだらどうなる?」という疑問は多くの人が持つかもしれません。
実は、教皇の死の確認から公表、そして荘厳な葬儀に至るまで、カトリック教会には古くからの伝統と厳格な規定に基づいた一連の流れが存在します。ここでは、教皇が亡くなられてから、その魂が安らかに眠りにつくまでの、知られざる儀式と手続きの詳細について解説していきます。
教皇の死はどのように確認・公表される?
ローマ教皇がお亡くなりになった場合、その死はとても厳かな手順で確認され、世界に伝えられます。
まず、教皇に最も近い場所にいる人、例えば侍医や側近の方などが、お亡くなりになったことを確認します。そして、カメルレンゴと呼ばれる特別な役職の枢機卿(教皇の補佐役の中でも位の高い聖職者)が、伝統的な方法で最終的な確認を行うと言われています。
この確認作業が終わると、教皇庁(ヴァチカンの中心となる組織)は、「使徒座空位(しとざくうい)」、つまり教皇が不在である期間に入ったことを示す規定に従って、公式に死を確認します。
その後、教皇庁の広報部門から、世界中の報道機関やカトリック教会に向けて、教皇がいつ、どこでお亡くなりになったかという公式発表が行われます。例えば、前の教皇ベネディクト16世がお亡くなりになった際は、「〇月〇日午前〇時〇分、ヴァチカン内の〇〇修道院にて逝去されました」といった形で、教皇庁から速やかに発表されました。このようにして、世界中の人々が教皇の訃報を知ることになるのです。
遺体はどこに安置され、弔問できる?
教皇がお亡くなりになると、そのご遺体は、まずヴァチカン宮殿の中にある「クレメンスの間」といった特別な広間に安置されることが多いです。そこでは、教皇庁で働く職員の方々や、各国の外交官など、限られた関係者が最初に弔問(ちょうもん:故人に別れを告げること)を行います。
その後、ご遺体は荘厳な行列とともに、一般の信者の方々や世界中から訪れる人々が広くお別れをできるように、サンピエトロ大聖堂へと移されます。サンピエトロ大聖堂は、カトリック教会の総本山ともいえる、とても大きな聖堂です。
大聖堂の中央祭壇の前など、多くの人の目に触れる場所に、ご遺体は数日間安置されます。この期間、大聖堂は一般に公開され、誰でも訪れて、祈りを捧げ、最後のお別れをすることができます。前の教皇ベネディクト16世の時には、イタリアの大統領や首相をはじめ、本当にたくさんの市民の方々が列を作って弔問に訪れました。世界中から集まった人々が、静かに祈り、故人を偲ぶ大切な時間となります。
納棺の儀式とは?特別な三重の棺
教皇のご遺体は、普通の棺ではなく、とても特別な「三重の棺」に納められます。これは、教皇という特別な立場への敬意を示す、古くからの伝統です。納棺(のうかん:遺体を棺に納めること)は、葬儀ミサの前に行われる厳かな儀式の中で行われます。
まず、一番内側の棺は「糸杉(いとすぎ)」という木で作られています。内側は赤い絹のような柔らかい布(繻子:しゅす)で覆われていて、蓋には黒檀(こくたん)という黒くて硬い木で作られた十字架がはめ込まれています。この棺にご遺体が直接納められます。
次に、その糸杉の棺を、鉛(なまり)で作られた二番目の棺に入れます。この鉛の棺の蓋には、十字架や、死を象徴する印、そして教皇の紋章(家紋のようなもの)が刻まれたプレートが付いています。さらに、ラテン語で、お亡くなりになった時の年齢や、教皇として活動した期間、亡くなった年月日も記されます。
最後に、この鉛の棺を、さらに外側の「樫(かし)」の木で作られた三番目の棺に納めます。この一番外側の棺にも、鉛の棺と同じような印が付けられています。石で作られたお墓(石棺)に納めやすいように、取っ手は付いていないのが特徴です。このように三重にすることで、ご遺体を大切に守り、後世に伝えるという意味が込められているんですね。ベネディクト16世の際には、棺の中に教皇の功績を記した証明書や在位中のコインなども一緒に納められました。
ローマ教皇の葬儀はいつ、どこで?
ローマ教皇の葬儀は、お亡くなりになってから通常4日から6日以内に行われることになっています[前回のインプット情報]。これは、前の教皇ヨハネ・パウロ二世が定めたルールに基づいています。あまり日を置かずに行われるのは、世界中から集まる参列者の都合や、次の教皇を選ぶ準備を始めるためでもあるようです。
葬儀が行われる場所は、ほとんどの場合、カトリック教会の総本山であるヴァチカンの「サンピエトロ広場」です。ここは、普段から多くの信者や観光客で賑わう、とても広大な広場です。サンピエトロ大聖堂を背景に、屋外で荘厳な葬儀ミサ(ミサ:カトリックの礼拝)が執り行われます。
前の教皇ベネディクト16世の葬儀も、お亡くなりになった6日後の2023年1月5日に、このサンピエトロ広場で行われました。当日は、現教皇フランシスコが司式(ししき:儀式を執り行うこと)を務め、世界各国から大統領や首相、王室関係者などの要人、そして何万人もの信者の方々が参列し、故人に最後の別れを告げました。広場に入りきれないほどの人が集まる、世界中が注目する儀式となります。
葬儀ミサの内容と告別の儀式
ローマ教皇の葬儀は、「葬儀ミサ」と呼ばれるカトリックの特別な礼拝の形式で行われます。ミサは、神父様(司祭)たちが聖歌と共に祭壇へ進む「入堂」から始まります。サンピエトロ広場に棺が安置され、荘厳な雰囲気の中でミサが進められます。
ミサの中心となるのは、「言葉の典礼」と「感謝の典礼」です。「言葉の典礼」では、聖書の一部が読み上げられ、司式者(主に教皇や枢機卿)による説教(神様のお話や故人を偲ぶお話)が行われます。前の教皇ベネディクト16世の葬儀では、現教皇フランシスコが、イエス・キリストの最後の言葉を引用しながら、故人の信仰深い生涯について語りました。
次に、「感謝の典礼」では、信者がパンとぶどう酒を祭壇に捧げ、それがキリストの体と血に変わると信じられているものをいただく「聖体拝領(せいたいはいりょう)」という儀式が行われます。これはカトリックのミサで最も大切な部分の一つです。
ミサの最後には、「告別の儀式」があります。ここで、棺に聖なる水が振りかけられ(聖水による祝別)、お香が焚かれます(献香:けんこう)。そして、司式者が最後の祈りを捧げ、故人の魂が神様のもとへ安らかに旅立つよう願います。
ベネディクト16世の葬儀では、この告別の祈りの後、広場から「サント・スビト!(すぐに聖人に!)」という声と拍手が沸き起こったそうです。この儀式をもって、故人に最後の別れを告げるのです。
ローマ教皇 死んだらどうなる?葬儀後と新教皇
荘厳な葬儀が終わると、ローマ教皇の旅路は終わりを迎えるのでしょうか。「ローマ教皇 死んだらどうなる?」という問いは、葬儀後のこと、そして次の教皇へと続きます。亡くなった教皇はどこへ埋葬されるのか、近年話題となった生前退位した教皇の場合はどうだったのか。
そして、カトリック教会にとって最も重要な課題、新しい教皇はどのようにして選ばれるのでしょうか。ここでは、葬儀後の流れから、世界中が注目する次期教皇の「決め方」、そして教皇不在の期間について詳しく見ていきましょう。
サンピエトロ大聖堂への埋葬
サンピエトロ広場での荘厳な葬儀ミサが終わると、教皇の棺はサンピエトロ大聖堂の中へと運ばれます。そして、大聖堂の地下にある「教皇の墓所(グロッタ)」と呼ばれる場所に、静かに埋葬されるのが通例です。
この地下墓所には、初代教皇とされる聖ペテロのお墓をはじめ、歴代の多くの教皇たちが眠っています。まさに、カトリック教会の歴史が刻まれた神聖な場所なんですね。
三重の棺に納められた教皇のご遺体は、この墓所の中の、あらかじめ用意された石棺(せっかん:石で作られた棺)の中に安置されます。埋葬の儀式は、通常、葬儀ミサに参列した枢機卿(すうききょう:教皇の最高顧問)たちやごく近しい関係者のみで行われる、静かでプライベートなものです。
前の教皇ベネディクト16世も、葬儀ミサの後、このサンピエトロ大聖堂の地下墓所に埋葬されました。彼が眠るのは、かつて前々教皇ヨハネ・パウロ二世が埋葬されていた場所だそうです。歴代の教皇たちとともに、永遠の眠りにつかれるのですね。
前教皇ベネディクト16世の特別な葬儀
2023年1月に行われた前教皇ベネディクト16世の葬儀は、いくつかの点で非常に特別でした。一番大きな理由は、彼が生前に自らの意思で教皇の職を退いていた(生前退位)ことです。これは、カトリック教会の長い歴史の中でも約600年ぶりという、とても珍しい出来事でした。
通常、教皇の葬儀は、教皇がお亡くなりになった後、次の教皇がまだ決まっていない「教皇空位期間」中に行われます。そのため、葬儀を取り仕切るのは枢機卿団の代表者(枢機卿団長)であることが多いのです。
しかし、ベネディクト16世の場合は、すでにご自身が選んだ後継者であるフランシスコ教皇がいらっしゃいました。そのため、現職の教皇が、前任の教皇の葬儀ミサを執り行うという、歴史上でも前例のない形となったのです。
また、生前退位されたため、彼は「名誉教皇」という特別な称号を持っていました。葬儀の際の祈りや式次第も、通常の教皇の葬儀とは少し異なる、この特別な状況を反映したものになったと言われています。歴史的な瞬間として、多くの人々の記憶に残る葬儀となりました。
生前退位した場合の特別な流れ
教皇が生前にお亡くなりになるのではなく、自らの意思で退位された場合、その後の流れは通常のケースとは少し異なります。前教皇ベネディクト16世の例が、現代における初めてのケースとなりました。
まず大きな違いは、先ほどもお話ししたように、葬儀を現職の教皇が執り行う可能性がある点です。ベネディクト16世の葬儀は、後継者であるフランシスコ教皇が司式しました。これは、教皇が空位の状態で葬儀が行われる通常の流れとは大きく異なります。
また、退位後の称号も異なります。ベネディクト16世は退位後、「教皇」ではなく「名誉教皇(Pope Emeritus)」と呼ばれました。服装も、現職教皇が着る純白の衣服ではなく、白いシンプルな祭服を着用されていました。
さらに、通常、教皇がお亡くなりになるとすぐに始まる次の教皇を選ぶための会議「コンクラーヴェ」の準備も、生前退位の場合は状況が異なります。ベネディクト16世の退位後は、彼が定めた期日に合わせてコンクラーヴェが開催され、フランシスコ教皇が選ばれました。このように、生前退位は、葬儀や称号、次期教皇選出のタイミングなど、様々な点で特別な流れを生むことになります。
次期教皇の決め方とは?
新しいローマ教皇は、「コンクラーヴェ」と呼ばれる特別な選挙会議によって決められます。これはラテン語で「鍵のかかった部屋」という意味で、外部からの影響を遮断し、祈りの中で選挙を行うための伝統的な方法です。
コンクラーヴェに参加できるのは、世界中にいる80歳未満の枢機卿(すうききょう)たちです。枢機卿は、教皇によって任命される、カトリック教会の中でも非常に位の高い聖職者で、教皇の重要な相談役でもあります。
彼らは、教皇がお亡くなりになるか、退位された後、ヴァチカン宮殿の中にあるシスティーナ礼拝堂に集まります。ミケランジェロの有名な天井画がある、あの礼拝堂です。そこで、外部との連絡を一切断ち、秘密の投票を繰り返して新しい教皇を選びます。
投票用紙に候補者の名前を書き、祭壇の前で宣誓してから投票箱に入れる、という厳粛な手続きで行われます。当選するには、投票総数の3分の2以上の票を獲得する必要があります。なかなか決まらない場合は、何度も投票が繰り返されます。新しい教皇が決まると、礼拝堂の煙突から「白い煙」が上げられ、世界中に新しい教皇の誕生が知らされるのです。
教皇空位期間(使徒座空位)について
教皇がお亡くなりになるか、退位されてから、新しい教皇が選ばれるまでの間、カトリック教会は「教皇空位期間(きょうこうくういきかん)」または「使徒座空位(しとざくうい)」と呼ばれる状態になります。つまり、教会のトップである教皇が一時的に不在となる期間のことです。
この期間中、教会の日常的な運営は、「カメルレンゴ」と呼ばれる特別な役職の枢機卿が中心となって行います。カメルレンゴは、教皇の財産を管理したり、空位期間中の教会運営に関する実務を取り仕切ったりする重要な役割を担います。
ただし、教義(教会の教え)に関わるような重要な決定や、新しい司教の任命などは、この期間中には行うことができません。あくまでも、次の教皇が決まるまでの間の暫定的な管理となります。
教皇庁(ヴァチカンの行政組織)の各部門の長官も、原則としてその職務を一旦停止します。教会全体が、新しいリーダーを迎えるための準備期間に入る、というイメージですね。
そして、この空位期間中に、次の教皇を選ぶための選挙会議「コンクラーヴェ」の準備が進められ、世界中から枢機卿たちがヴァチカンに集まってきます。新しい教皇が決まり、就任することで、この教皇空位期間は終わりを迎えます。
まとめ:ローマ教皇が死んだらどうなる?について
- 教皇の死は侍医や側近がまず確認する
- カメルレンゴ(枢機卿)が伝統的方法で最終確認を行う
- 教皇庁は「使徒座空位」として死を公式に確認する
- 教皇庁広報部門が教皇の死を世界に公式発表する
- 遺体はまずヴァチカン宮殿内の広間に安置される
- その後、サンピエトロ大聖堂に移され一般弔問を受け付ける
- 教皇の遺体は特別な三重の棺に納められる
- 内側の棺は糸杉製、内張りは赤繻子である
- 中間の棺は鉛製で、蓋に教皇の情報が刻まれる
- 外側の棺は樫製で、取っ手がない
- 葬儀は死後4日から6日以内に行うのが規定である
- 葬儀の場所は通常、サンピエトロ広場である
- 葬儀は「葬儀ミサ」という特別な礼拝形式で行われる
- 葬儀ミサでは聖書朗読や説教、聖体拝領などが行われる
- ミサの最後に聖水や献香による告別の儀式がある
- 葬儀後、遺体はサンピエトロ大聖堂地下墓所に埋葬される
- 埋葬儀式は通常、近親者や関係者のみで行われる
- 生前退位した教皇の葬儀は現職教皇が執り行うことがある
- 生前退位した教皇は「名誉教皇」と呼ばれる
- 次期教皇は「コンクラーヴェ」という選挙会議で決まる
- コンクラーヴェは80歳未満の枢機卿が秘密投票で行う
- 投票で3分の2以上の票を得た者が新教皇となる
- 新教皇決定はシスティーナ礼拝堂の煙突から白い煙で知らされる
- 教皇不在期間は「教皇空位期間」と呼ばれる
- 空位期間中はカメルレンゴが暫定的に教会運営を担う
- 空位期間中、教義に関する重要決定は行われない